中性化の進行とかぶり圧

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建物の寿命を調べる際、炭酸化・中性化がどのくらい進行しているかが大きな問題になる。 コンクリートはアルカリ性が非常に強く、本来PHがn以上あるといわれている。みなさん も学生時代、リトマス試験紙やフェノールフタレイン溶液を使った実験をしたことがあるだ ろう。コンクリート中にアルカリ分が存在しているあいだ、埋め込まれた鉄筋は腐食しない。 強いアルカリによって腐食を免れているからである。 時間が経ち、コンクリート内の中性化が進みPHが皿以下になると腐食が始まり、鉄筋は 膨張しはじめる。このとき鉄筋は最高で二・五倍にも膨れ上がるため、鉄筋がコンクリート を押し出すかたちになるのである。こうして圧力がかかった部分には亀裂が入ったり、悪く するとコンクリートの剥落がおこる。

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これを「爆裂現象」と呼ぶ。この現象が現れると建物はきわめて危険な状態にあるといわ ざるをえなくなる。自分のマンション、あるいは近所の古いマンションを注意して見てほし い。コンクリートが落ち、そのなかに鉄筋の一部が顔を覗かせているところがないだろうか。 もしそのような状況に遭遇したら、それが鉄筋爆裂現象なのである。 ここで「被り厚」が問題になってくる。つまりコンクリート中の鉄筋の位置、表面からど のくらいの深さに鉄筋が埋め込まれているかという、コンクリートの厚さが重要になってく るわけだ。この厚さがしっかり取れていれば、コンクリート表面よりの中性化の進行を大幅 に遅らせることができる。したがって鉄筋の腐食も抑えられることになる。しかし被り厚が 薄く、たとえば一センチ以下のところに鉄筋があったとすれば、一○年もするうちに中性化 が進行して爆裂現象は急速に拡大し、やがては建物は崩壊へと向かうだろう